
Thérèse Encrenaz著、出版社 Springer
著者はフランスの天文学者です。
表題は「宇宙に水を探し求めて」と訳せばよいのでしょうか。
内容
目次(インタイカ翻訳)
序論 宇宙で水を探す理由
地球の生命…
…そして、宇宙のどこかで
第1章 簡単な構造の分子
H2O分子
さまざまな水の状態
豊富に存在する宇宙の水
水分子のスペクトル
オルト状態とパラ状態の水
重水
宇宙の水を探し求める方法
第2章 宇宙に水を探し求めて
1877年:火星の運河
1950―1970年:火星、土星および星間の水
1970―1990年:火星と彗星
1994―1995年:水蒸気と銀河
1995―1998年:赤外線スペース天文台
赤外線スペース天文台の次の時代
将来の計画:ハーシェルとSPICA
第3章 氷線と惑星の誕生
今日の太陽系
原始太陽系雲の崩壊
原子惑星円盤から微惑星へ
地球型惑星と巨大惑星
出来事の簡単な年代記
太陽系のどこで水を探すか
第4章 彗星と水
彗星の核:汚れた雪玉
1986年に現れたハレー彗星:水蒸気を初めて検出
謎の多い水
水の氷…
彗星の物質と星間物質
水:彗星の年代を記録するもの
彗星の宇宙探査:最近の結果と将来の計画
第5章 外部太陽系における水
巨大惑星の大気
水と巨大惑星
外部太陽系の衛星
ガリレイ衛星
土星の衛星
天王星の仲間
トリトン:低温火山活動の実例
巨大惑星の環と小さな衛星群
めい王星と海王星以遠の天体群
第6章 氷線 小惑星
小さな惑星
小惑星、それとも彗星?
隕石:その場測定の可能性
第7章 水と地球型惑星
水星と月:大気はないが、水の痕跡はあるか?
フォボスとデイモス:火星の小さな衛星
金星、地球、火星:全く異なった3つの世界
火星と金星の水蒸気の痕跡
火星と金星の水蒸気の歴史
分かれた運命
火星の水の歴史
火星での生命の探索
第8章 別の地球での水の探索
生命の定義
生命はどのようにして始まったか
太陽系外惑星発見の初期の頃
恒星の近くの太陽系外巨大惑星
地球のような惑星は他に存在するだろうか
地球に似た惑星上の生命存在の可能性
どのようにして地球外生命を見つけるか
地球外文明の探索
用語解説
参考文献
索引
内容要点
著者は、水を探す宇宙の旅へ読者を案内してくれます。
よく知られた分子H2Oの物理化学的特性と、宇宙での生成と存在度の紹介から始まります。
太陽系の内外の両方で、水の存在を検出する方法について吟味します。近くの惑星から最も遠い銀河まで、水が発見されている宇宙のさまざまな場所を一つ一つ訪ねます。
太陽系の形成において、水がどのように重要な役割を果たしたか、地球型惑星と巨大惑星の性質を決定したいわゆる「氷のフロンティア」を用いて説明します。
太陽系のいろいろな天体、環や衛星を従えた巨大惑星、彗星、小惑星、そして地球型惑星において、水の存在について調査します。火星、金星、地球の大気の水の歴史をさかのぼって調べることによって、ほんの小さな温度差によって水が惑星ごとに異なった状態、すなわち、金星では気体、地球では液体、火星では固体の氷で存在するようになったために、3つの惑星がいかに異なった進化を遂げる結果になったかを説明します。
火星の水の話は、大きな関心を呼ぶ話題ですが、かつて火星に生命が存在した可能性(実証はまだ)を洞察します。
最後に、居住可能な太陽系外惑星の研究で、水が果たす重要な役割について考察します。
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